こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(4)
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「きょうは、擬物法(ぎぶつほう)です」
アイちゃん
「初めて聞きました」
デアくん
「擬人法は知ってるけど・・・」
ひらめき先輩
「僕も習った覚えがないですね。擬人法とは逆に、
人間を物のように例えて表現する手法のことです。
例えば、ある人がいろんなことに精通しているという
意味で、『彼は、まさに生き字引きだ』というような
表現があります」
デアくん
「あっ、それなら知ってる!」
アイちゃん
「そういう表現のことを言うんですね」
ひらめき先輩
「そう。特別なものじゃないですよ。
擬物法という呼称になじみがないだけです」
アイちゃん
「ほかにどんなものがあるのかしら?」
ひらめき先輩
「ほかの例で言うと、そうですね。『彼女の笑顔は、
僕の栄養ドリンクだ』というのはどうでしょう」
デアくん
「よく分かるーっ。好きな女性の笑顔を見てると、
元気になってくるという意味ですよね」
アイちゃん
「すごくロマンチックな表現!」
ひらめき先輩
「こういうのも擬物法と言えるんじゃない。
『彼はとうとう会社の歯車になってしまった』」
アイちゃん
「ちょっと風刺的、ですね」
デアくん
「そういう使い方もあるんだ、なるほど」
ひらめき先輩
「それから、思いついたものをどんどん挙げてみるね。
『彼は一座の一枚看板だ』とか『彼は彼女の操り人形さ』
とか・・」
デアくん
「ドキッ!」
アイちゃん
「デアくん、何、驚いているのよ?」
デアくん
「いや、自分のことを言われ・・やめとこっ!」
ひらめき先輩
「やめておいたほうがいいよ」
アイちゃん
「ひらめき先輩まで・・なに、なに?」
ひらめき先輩
「この養成所の一枚看板だと言いたいわけよ。
だよね、デアくん?」
デアくん
「そうそう。そういうことです」
アイちゃん
「なんか、変だな・・」
ひらめき先輩
「ということで、きょうはこの辺でお仕舞といたします。
次回は、共感覚法です。お楽しみに」
参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)