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こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(6)

こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。

アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。

ひらめき先輩
「今回は、くびき法ですね。くびき法は、2つ以上の文を
1つの共通の動詞または形容詞でつなぐ手法のことです」

アイちゃん
「くびき法って、初めて聞きました」

デアくん
「僕もですね」

ひらめき先輩
「本来、くびきとは牛や馬などの家畜を馬車や牛車など
につなぐときに用いる木製の棒状の器具。つまり、何頭
かの牛や馬のくびの後ろにかける横木のことです。
例文を見れば、『ああ、そのことか』と思うはずです」

アイちゃん
「そういう道具から来てるんですか?」

デアくん
「複数の言葉をつなぐ、という意味なんですね」

ひらめき先輩
「そうです。例えば、2つ以上の名詞に同じ形容詞や
動詞が使われるとき、形容詞や動詞を1回だけにする。
また、1つの表現を複数の意味と対応させて使うなど、
大きく分けて2つの使い方があります」

アイちゃん
「同じ言葉を繰り返したいときもあれば、簡潔に表現
したいときもありますよね」

デアくん
「どんな例文があるんですか?」

ひらめき先輩
「例えば、『薄い味がいいように、化粧も薄い方がいい』
というような文があるとき、『味と化粧は薄い方がいい』
というように共通する形容詞を1つにまとめて表現する
ことができます」

アイちゃん
「なるほど。簡潔になりますね」

デアくん
「簡潔になるほど、強さが出ますね」

ひらめき先輩
「元の文が悪いという意味じゃないので、その辺は
誤解しないでくださいね。別の例で言うと、『心の乱れが、
服装に表れる』という元の文があるとします。これは
これで決して悪くはないですが、くびき法を使って簡潔に
表現したいときは、『服装の乱れは、心の乱れ』と書き
換えることができます」

アイちゃん
「これもくびき法なんですか?」

デアくん
「同じ言葉繰り返されている」

ひらめき先輩
「ちょっと分かりづらいかもしれませんが、これは1つの
表現を2つの意味で使った場合です。『乱れ』という表現は、
同じようでも意味する内容は異なります。心の乱れは内面的
な部分を表し、服装の乱れは外面的な部分を表しています。
2つの意味を1つの言葉でつないでいるという点で、くびき
法なのです」

アイちゃん
「同じ言葉に、違う意味を含ませているということですか?」

デアくん
「例文はよく知ってる表現だけど、解説はちょっと難しい」

ひらめき先輩
「じゃ、同じ使い方で、別の例文を挙げますね。例えば、
『身体を引き締め、心を引き締める』というものもあります」

アイちゃん
「同じ『引き締める』でも、中身が違うわけですね」

デアくん
「だったら、『身も心も引き締める』という言い方も
ありじゃないですか?」

ひらめき先輩
「ありですね。というところで、きょうは終わりに
しましょうか。次回は、換喩(かんゆ)という手法です。
お楽しみに」


参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)

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