こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(10)
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「レトリックの話も今回で11回目を迎えましたが、
少しでも役に立っていますか?」
アイちゃん
「ほとんど初めて知ることばかりなので、
役に立っているかと言われると困るんですけど・・」
デアくん
「でも、何度もトライして使いこなせるようになれば、
魅力的な文章が書ける気がします」
アイちゃん
「そうよね。知らなければ、いつまでたっても
向上しないものね」
ひらめき先輩
「実は、僕だって、そんなに学んだ経験はないんですよ。
だから、こうやってみんなと一緒に学んでいるんです。
何でもそうだけど、まず知識を得て、練習を続けていけば、
必ずものになりますから。がんばりましょう」
アイちゃん・デアくん
「はーい!」
ひらめき先輩
「で、きょうは緩叙法(かんじょほう)です」」
アイちゃん
「かんじょほう?」
デアくん
「ああ、感情法ね。 感情を言葉にする表現方法でしょ」
ひらめき先輩
「そんなのあったっけ?」
アイちゃん
「かんじょうほう、じゃなくて、かんじょほう、でしょ?」
デアくん
「かんじょほう?」
アイちゃん
「そういう私もよく知らないけれど(笑)」
ひらめき先輩
「ハハハ、そのくらい聞きなれない名前ですよね。
緩叙法はひかえめに表現することで、内に秘めた強い
感情を伝えようとする手法のことです。方法としては、
ひかえめな語を選ぶ場合と、『少し』や『ちょっと』など、
ひかえめな語で修飾する場合があります」
アイちゃん
「どんな表現なんだろう。早く例文を知りたい」
デアくん
「例文を見ると、すぐ分かるよね」
ひらめき先輩
「はいはい。例文、行きますよ。例えばですね。
『話があるんだけど』と言うところを、『ちょっと
話があるんだけど』というときないですか?」
アイちゃん
「あります、あります」
デアくん
「そういうことか」
ひらめき先輩
「そういうものとか、『彼のこと、好きでしょ』と
言うところを、『彼のこと、思ってるでしょ』と
言ったりしませんか」
デアくん
「あるある」
アイちゃん
「遠まわしに言うって感じかしら」
ひらめき先輩
「そんな感じだね。本当は強い気持ちがあるんだけど、
その感情をストレートに表現しないで、押さえた表現に
することで、暗にそれを感じさせる。そういう意味では、
含みのある伝え方と言えるかもね。ほかの例としては、
こんな言い方もあります。『昨日、彼女と何したんだよ』
と聞かれたとき、わざと意味ありげに、『あんなことや
こんなこと』と言ったりすることあるでしょ? これも
緩叙法です」
アイちゃん
「はっきり言わないところが、日本人的かも」
デアくん
「うんうん。的、的・・」
ひらめき先輩
「じゃ、きょうはこの辺にしておきましようか。
次回は、曲言法(きょくげんほう)です。お楽しみに」
参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)