こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(12)
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「きょうは、同語反復法(どうごはんぷくほう)ですね。
これは意味としてはそんなに難しくないです。文字どおり
同じ言葉を繰り返して、伝えようとする意味を強める手法
のことです」
デアくん
「同語・・同じ言葉を、反復法・・反復する方法か」
アイちゃん
「確かに、分かりやすいと言えば分かりやすい名前ですね」
ひらめき先輩
「典型的なパターンを紹介しますね。例えば、『AはA』
というパターン。例文で言えば『子どもは子どもだ』」
アイちゃん
「繰り返すことで強調しているんですね」
デアくん
「よく使いますよね、そういうの。『俺は俺だ』とか・・」
ひらめき先輩
「これを応用すると、例えば『あなたの代わりはいない』
というところを、同語反復法を使うと『あなたは、あなた
なんだから』と言い換えられますね」
アイちゃん
「ああ、そういうふうにも使えるんですね」
デアくん
「ふだん何気なく使ってるのに、文法的なことは
何も知らない。これ、英語と逆だな。英語もこうだ
といいんだけど・・」
ひらめき先輩
「それから、『AかAではないか(のどちらか)』という
パターン。例えば、『彼は来るかも知れないし、来ないかも
知れない』という表現ね」
アイちゃん
「これも、同語反復法なんですね」
ひらめき先輩
「次は、『AならばA』というパターン。例文としては、
『負けたのなら負けたのだ』というのがあります」
アイちゃん
「『やりたければ、やりなさいよ』というのもそうかしら」
デアくん
「なるほど。分かりやすいね」
ひらめき先輩
「いいと思います。次は、『AのときはA』というパターン。
『やるときはやる』という表現ね」
アイちゃん
「うん、よく使いますよね」
デアくん
「アイちゃんがよく使うのは、『やるときはやりなさいよ!』
だよね」
アイちゃん
「デアくん、ケンカ売ってるの?」
デアくん
「いやいや・・そういうつもりではござんせん」
ひらめき先輩
「次は、『AだからA』というパターン」
アイちゃん
「これもよく使いますよね。例えば、『好きだから好き』
とか・・」
デアくん
「うんうん。もっと言って!」
ひらめき先輩
「デアくん、何考えてんの? っていうか、何、勘違い
してんの?」
ひらめき先輩
「応用としては『もうこんな時間だから、腹が減るわけだ』
というのを、『時間が時間だから、腹が減るわけだ』と
言い換えることができます。じゃ、最後のパターンは、
『AなものはA』。『いいものはいい』とか、よく使いますね」
アイちゃん
「『嫌いなものは嫌い』とかね」
デアくん
「『好きなものは好き』とかね」
ひらめき先輩
「はい、ケンカが起こる前に終わりにしたいと思います。
次回は、撞着法(どうちゃくほう)です。お楽しみに」
参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)