こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(17)
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「きょうのレトリックは、対句法(ついくほう)ですね」
アイちゃん
「ついくほう?」
デアくん
「初耳でーす」
ひらめき先輩
「えーと、これはですね。類似の構造を持つ二つの句を
並べることによって、表現に味わいを持たせる手法のこと
です。対照法が意味的に対立する物事を並べるのに対して、
対句法は同じ形式や同じ長さの言葉を並べるので、物事は
必ずしも対立しないという違いがあります」
アイちゃん
「と言われても・・」
デアくん
「解説されると、かえって難しく感じまーす」
ひらめき先輩
「そうだよね。こういうものって、解説する言葉が難し
かったりするからね。じゃ、例文、挙げるね」
アイちゃん
「お願いしまーす」
デアくん
「・・・しまーす」
ひらめき先輩
「例えば、『お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に』
などがそうです」
アイちゃん
「なるほど。そういうのが、対句法なんですね」
デアくん
「対比させた言い方、か」
ひらめき先輩
「分かったでしょ。『山』と『川』、『芝刈り』と『洗濯』が
対句になってますね。じゃ今度は、例文、つくってみて」
アイちゃん
「こういうのは、どうですか。『青い空、白い雲』」
ひらめき先輩
「いいじゃないですか」
アイちゃん
「わーい! やった、やった。デアくんは?」
デアくん
「えーと・・えーと・・えーと・・」
ひらめき先輩
「エート、ナイン、テン。はい、時間切れ!」
デアくん
「えーっ!? ちょっと待ってくださいよぉ。
いますぐ言いますから・・。えーと・・えーと、
『月は東に、日は西に』っていうのはどうですか?」
ひらめき先輩
「いいじゃないですか。それも立派な対句です」
アイちゃん
「じゃ、『鶴は千年、亀は万年』はどうですか?」
ひらめき先輩
「対句です。『旅は道連れ、世は情け』というのもあります」
デアくん
「『帯に短し、たすきに長し』は・・?」
ひらめき先輩
「いいですね。こういうのもあります。モハメド・アリが
言った『蝶のように舞い、蜂のように刺す』もそうだし、
元アメリカ大統領のニクソンの言葉、『負けても終わりではない。
やめたら終わりだ』もそうですね」
デアくん
「こうやって話していくと、何となく自分でも書けそうな
気になってきたな」
アイちゃん
「うん。そんなに難しくないかも・・」
ひらめき先輩
「はい。きょうはここまでとしましょうか。
次回は倒置法です。お楽しみに」
参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)