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こんなに簡単!魅力的で説得力のある文章術(19)

こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。

アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。

ひらめき先輩
「きょうでレトリックの話は最後となります。
今回はみんなもよく知っている体言止めです」

アイちゃん
「体言止めなら知ってます」

デアくん
「僕も・・」

ひらめき先輩
「知ってると思うけど、一応、解説しますね。体言止めとは、
文の最後の助詞などを省略し、体言、つまり名詞や名詞句で
終えることによって強調や余韻などを表現する手法のことです。
名詞止めとも言います。文章に味わいを持たせることを追求
した和歌・俳諧から生じた表現技術です」

アイちゃん
「和歌や俳諧から来てるんですか?」

デアくん
「はいかい? 俳句なら知ってるけど」

アイちゃん
「徘徊じゃないわよ」

ひらめき先輩
「俳諧って、あまりなじみがないから知らないのも
無理はないと思います。実際、僕もよく知りません。
ウィキペディアによると、『俳諧とは、主に江戸時代に
栄えた日本文学の形式、また、その作品のこと。
誹諧とも表記する。正しくは俳諧の連歌あるいは
俳諧連歌と呼び、正統の連歌から分岐して、
遊戯性を高めた集団文芸であり、発句や連句といった
形式の総称である』とあります」

デアくん
「そう言われてもぜんぜん分からない」

ひらめき先輩
「そうだよね、ハハハ。僕も説明していて分からないもの。
俳諧は『俳諧の連歌』の略です。連歌とは1首の短歌を
上の句と下の句に分けて2人以上で詠みあい、それを次々と
鎖のように続けていく貴族の遊びだったそうです」

アイちゃん
「へぇ、貴族の遊びだったんですか」

デアくん
「高尚な遊びだな」

ひらめき先輩
「俳諧の最初の1句を発句と言うんだけど、松尾芭蕉の
登場により冒頭の発句の独立性が高まり、発句のみを
鑑賞することも多く行われるようになったそうです。
だから、芭蕉は決して俳句を詠んでいたわけじゃないん
ですね。俳句は明治になって、正岡子規が俳諧から独立
させた発句の新しい名称として名づけたものらしいですよ」

アイちゃん
「ふーん。そういう流れがあるんですね」

デアくん
「正岡子規が名付け親か・・」

ひらめき先輩
「すっかり俳諧の話になっちゃいましたね。話を戻します。
体言止めは文章の始まりや短い文で使うほうがより自然です。
注意点としては、多用しすぎたり、続けて使ったりしない
ことです。また、全体の文章の最後に体言止めを使うと
尻切れトンボの印象になるのでやめましょう」

アイちゃん
「確かに・・」

デアくん
「例文を挙げましょうか?」

ひらめき先輩
「おっ、デアくん、きょうは積極的ですね」

デアくん
「えーと。『きょうも積極的に学んでいるデアくん』って
いうのはどう?」

アイちゃん
「自分褒め?」

ひらめき先輩
「内容はともかく、体言止めですね」

デアくん
「内容はともかくって・・?」

アイちゃん
「『きょうもキラキラ輝いている私』っていうのは?」

ひらめき先輩
「立派な体言止めです」

デアくん
「あっ、それだって自分褒めじゃない?」

アイちゃん
「ま、いいじゃない。本当なんだから」

ひらめき先輩
「じゃ、例文を挙げますね。元の表現と体言止めの
表現をくらべてみます。まず、元の表現が『夕日が
海原を黄金色に染めている』の場合、『海原を黄金色に
染めている夕日』と言い換えられます。『彼は私に
バラの花束をくれた』は、『彼が私にくれた
バラの花束』に、『金融政策によって、景気は
回復した』は『金融政策によって、景気は回復』に
言い換えられますね」

アイちゃん
「体言止めは理解しやすいですね」

デアくん
「理解しやすい体言止め・・」

ひらめき先輩
「というところで、レトリックの話は終わりに
しましょうか」

デアくん
「次回は何をやるんですか?」

ひらめき先輩
「次回の内容は、まだ決まっていません。
アイデア関連の内容にするか、コピー表現にするか、
それまでのお楽しみにということにしておきます」


参考文献:日本語のレトリック―文章表現の技法 (岩波ジュニア新書)

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