【誕生秘話】世界的なヒット商品に生まれ変わった失敗作。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「きようは失敗から生まれたヒット商品の話です」
デアくん
「ヒット商品って、失敗から生まれることが
あるんですか?」
アイちゃん
「失敗は成功のもとって言うじゃない?」
デアくん
「なるほどね」
ひらめき先輩
「これは1969年、アメリカでの話なんだけど、
3M社って知ってるでしょ? あそこの研究者が
接着力の強い接着剤の開発要求を受けて、
実験を繰り返して、ある試作品を作りあげたんです。
ところが、接着力は強いけれど、簡単に剥がれてしまう
という、接着剤としては失敗作だったんです」
デアくん
「分かった。その商品、『ポスト・イット』ですね」
ひらめき先輩
「最終的にはそうなんだけど、そう簡単には
商品は生まれなかったんです」
アイちゃん
「あっ、よくあるアレですね。
新しい技術はできても、
その使い方がわからないという、アレですね」
ひらめき先輩
「ソレです。(笑)
ふつうだったら失敗ということで終わるんだけど、
このときの研究者はそうしなかったんです。
顕微鏡を覗いてみると、従来の接着剤には見られない
不思議な現象を目にしたんですね。
それで、すっかり虜になってしまったんです」
デアくん
「そうか。新技術はあるけど、
まだ製品にはなっていないわけか・・・」
ひらめき先輩
「そうだね。ヒット商品が誕生するには、
シーズがニーズと出会う必要があるよね。
そこで、この発見を社内のあらゆる部門の人たちに
紹介し、見本を配り、何か使いみちはないか、
と聞きまわったんです。
アイちゃん
「ニーズ探しですね」
デアくん
「で、見つかったわけですね?」
ひらめき先輩
「それが、具体的なアイデアは出ませんでした。
じつは、基本となるアイデアがひらめくまでに
5年かかっています」
アイちゃん・デアくん
「5年も・・?」
ひらめき先輩
「そうなんですよ。
そして、5年後の1974年のある日曜日のこと。
この話を聞くと、アイデアのひらめき方って、
本当に共通してるなぁって思いますね」
アイちゃん
「そんなこといいですから、
早く教えてくださいよ、ひらめき先輩!」
ひらめき先輩
「ごめん、ごめん。その研究者は教会の聖歌隊の
メンバーで、その日も、いつものように讃美歌集の
ページをめくっていたそうです。そうしたら、
目印に挟んでおいたしおりが落ちたんですね。
ふつうだったら拾って終わりなんだけど、
さすが研究者。その瞬間、ひらめいたんです。
『これに、あの接着剤を使えばいいんだ!』って。
翌日から、のりの付いたしおりの開発に取りかかったそうです」
デアくん
「それって、5年後ですよね?
僕だったら1年でも忘れちゃう」
アイちゃん
「1カ月でしょ!」
デアくん
「アイちゃんったら・・・」
アイちゃん
「ごめん、ごめん。3カ月にしてあげる」
デアくん
「んもうーっ!」
ひらめき先輩
「朝までやってなさい!
はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」