【誕生秘話】計算しつくされたアイデアが詰まった電卓。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「デアくんは、“答え一発!カシオミニ”という
CМを知ってる?」
デアくん
「知らないです。ネットの検索ソフトですか?」
ひらめき先輩
「(笑)・・・なるほど。アイちゃんは?」
アイちゃん
「いいえ、初めて聞きました」
ひらめき先輩
「そうだよね。これは、1972年に発売された
『カシオミニ』のキャッチコピーで、
CМソングとしても話題を呼びました」
デアくん
「今年で40年ですね」
ひらめき先輩
「今年、未来技術遺産にも登録されましたね。
当時の電卓といえば、オフィス合理化のための
機械で、3〜5万円もしたんですよ」
アイちゃん
「そんなに高かったんですか?」
ひらめき先輩
「『カシオミニ』は、一人に一台を目指して
開発された画期的な電卓なんです。
価格も12,800円。大きさも手のひらサイズ」
デアくん
「“企業向けの商品を個人向けに”、という発想が
素晴らしいですね」
ひらめき先輩
「そうなんですよ、デアくん。
いいところに気がついたね。
アイデアは、まずどんなものを作りたいのか
という着想がないと生まれませんよね」
アイちゃん
「でも、それを実現するのは大変だったでしょうね」
デアくん
「アイデアとの勝負ですね」
ひらめき先輩
「そう、あの小さなボディには、技術者の汗と涙の
結晶、つまりアイデアがびっしり詰まってるんですよ」
アイちゃん
「どんな所にアイデアが生かされてるんですか?」
ひらめき先輩
「設計や仕様、材料など、すべてにおいて根本から
見直し、部品の各所には新技術を採用し、部品点数も
極限まで絞り込んだそうです。
ディスプレイ部分は8桁が主流だったものを6桁に
して、表示の切り替えによって、12桁までの計算と
小数点以下6桁の表示を可能にしたそうです」
デアくん
「そうか。一般家庭では、8桁も必要ないからか・・」
アイちゃん
「デアくん、きょうは冴えてるじゃない!」
デアくん
「きょうは・・・?」
ひらめき先輩
「ほんと、その通りです。日常生活では、
100万円を超える買い物って少ないからね。
それに当時は、蛍光表示管が高かったので、
6桁にすることで大幅なコスト削減になったんです」
デアくん
「デザイン面では、何か特徴はなかったんですか?」
ひらめき先輩
「すごいなぁ、きょうのデアくん」
アイちゃん
「ほんと、何かあったの?」
ひらめき先輩
「デザイン面でも、横長に走る数字のディスプレイや、
丸型の数字ボタンが並ぶテンキー部分など、愛着のわく
デザインが特徴的だったんです。キースイッチには、
現在でも使われているパネルスイッチをさきがけて
開発したそうです」
デアくん
「どのくらい売れたんですか?」
ひらめき先輩
「発売後10カ月で 100万台、シリーズ累計で
1000万台を売り上げたそうです」
アイちゃん
「手のひらサイズで、低価格の個人向け計算機か。
しかも、世界初でしょ。売れないわけないですよね」
デアくん
「売り上げが桁違い。カシオさんにとっては、
うれしい誤算ですよね」
アイちゃん
「きょうはどこまで冴えてるの、デアくん?」
デアくん
「“きょう”は、余分だって!」
ひらめき先輩
「はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」