【誕生秘話】原点は、母のえびのかき揚げ。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「きょうは、やめられない、とまらないお菓子の話です」
アイちゃん
「あ、分かった!『かっぱえびせん』ですね」
デアくん
「あれも歴史のあるヒット商品じゃないですか」
ひらめき先輩
「そうだね。発売が1964年です。
この前に『かっぱあられ』というのがあったんですよ」
デアくん
「かっぱあられ?」
ひらめき先輩
「『かっぱえびせん』の前身で、小麦粉で作った
あられです。
アイちゃん
「あられというと、ふつうはお米ですよね」
ひらめき先輩
「そうなんです。お米が不足していた時代なので、
小麦粉で何とか作ろうと研究したんですね。
日本で初めて成功したのが1954年でした」
デアくん
「でも、どうして『かっぱあられ』なんですか?」
ひらめき先輩
「その頃、『かっぱ天国』という漫画が大人気
だったそうです。その作者の清水崑画伯にシンボル
キャラクターとして河童の絵を書き下ろしてもらった
ものをパッケージに使い、商品名も『かっぱあられ』
として1955年に発売されました」
アイちゃん
「『かっぱあられ』が前身とはいえ、
『かっぱえびせん』が発売される1964年まで、
ずいぶん時間がありますね」
ひらめき先輩
「『かっぱあられ』には、“一番槍”や蜜をかけた
ほんのり甘い“鯛あられ”、“横綱かっぱ”などの
バリエーションもあったそうです。
創業者の松尾さんは、研究熱心な方で、
以前からずっと製品化したい味があったんです」
デアくん
「それが『かっぱえびせん』・・・」
ひらめき先輩
「もう、デアくんったら・・・。
寅さんじゃないけど、
“そう言っちゃ、おしまいよ”ですよ」
アイちゃん
「デアくん、もう少し話を聴こう」
デアくん
「分かりました」
ひらめき先輩
「松尾さんは、えびのかき揚げが大好物だったんです。
子供の頃、広島市にある太田川で川えびを獲って帰ると、
お母さんがそのえびでかき揚げを作ってくれたそうです。
その大好物のえびのかき揚げを、なんとかお菓子にでき
ないかと考えていたのです」
アイちゃん
「ジーンと来る話ですね」
デアくん
「お袋の味、か」
ひらめき先輩
「そこで松尾さんは、5〜10センチのえびをまるごと
小麦粉あられの原料に練りこんで作ってみたそうです。
それがおいしかったんですね。試行錯誤の末に、
1964年に完成したというわけです」
デアくん
「松尾さんって、アイデアマンですよね。
だって、日本で初めて小麦粉であられを作ったり、
えびのかき揚げの味をお菓子で再現しようとした
んですから」
アイちゃん
「そうよね。最初にものを創り出す人の共通性は、
“こんなものがあったらいい”とか、
“こんなものをつくってみたい”という夢や
ロマンみたいなものを必ず持っていることですね。
ひらめき先輩
「アイデアは、まず、何を創りたいかという具体的な
ビジョンがないと生まれないですからね。
小麦あられが発売されてから、ちょうど10年後のことです。
発売直後から人気となり、翌年にはカルビー製品の中で
売上げナンバー1になります。
ところで、カルビーの社名の由来を知ってますか?」
デアくん
「きっと造語だね。なんだろう?」
アイちゃん
「カルビーの“カル”は、“軽い”かな」
デアくん
「“ビー”は、ピールに合うから、ビールの“ビー”かな?」
ひらめき先輩
「近いけど、違います。
カルビーの“カル”は、カルシウムの“カル”。
“ビー”は、ビタミンB1の“ビー”から来ているそうです。
はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」