【誕生秘話】3つの革新的ポイントを備えた漬物。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
デアくん
「ひらめき先輩、珍しいですね、お弁当だなんて」
ひらめき先輩
「悪いけど、きょうは食べながらやらせてもらうね」
アイちゃん
「どうぞ、どうぞ」
ひらめき先輩
「きょうは、これの話をしましょうか」
デアくん
「それって、きゅうりの漬物ですか?」
アイちゃん
「『きゅうりのキューちゃん』でしょ」
ひらめき先輩
「そうです。この商品が発売されたのは1962年。
昭和37年ですね」
アイちゃん
「ということは、50年前か。これも、ロングセラー
商品ですね」
ひらめき先輩
「『きゅうりのキューちゃん』には、ヒット商品に
なるだけあって、3つの革新的なポイントがあったんです。
それを中心に、きょうは話しますね」
アイちゃん
「へぇ、きょうも面白そう・・・」
アイちゃん
「こういう袋入りの漬物は、いまでこそ当たり前に
あるけど、当時は画期的だったんですよ」
デアくん
「そうなんだ」
ひらめき先輩
「その頃の漬物って、店頭の樽から小分けして
売られていたからね。だから、個包装パッケージは
衛生的で、しかも、ちょうどスーパーマーケットが
登場してきた背景もあって時代のニーズにもフィット
したんですね」
アイちゃん
「あれは醤油漬けですよね」
ひらめき先輩
「アイちゃん、いいとこつくね。当時の漬物は
たくあんやぬか漬けが主流の時代だったから。
“きゅうり”と“醤油漬け” の組み合わせは
すごく斬新だったんですよ」
デアくん
「たくあん大好き!」
アイちゃん
「デアくん、そういう問題じゃなくて・・・」
ひらめき先輩
「それから、もうひとつ。この商品には革新的な
ことがあるんですが、分かりますか?」
デアくん
「えーと・・・、噛んだときの音がいい?」
ひらめき先輩
「確かに食感はいいけど、違います」
アイちゃん
「うーん、商品名が社長の名前?」
ひらめき先輩
「アイちゃん、面白いこと言うね。当たらずとも
遠からず、かな」
デアくん
「遠からず? じゃ、部長の名前?」
アイちゃん
「じゃ、飼ってる犬の名前?」
ひらめき先輩
「ちょっと待って、二人とも。遠からずといっても、
そういうことじゃないですよ。ネーミングが斬新と
いうことです。それまで“キューちゃん”というよ
うな擬人化した商品名なんてなかったんです」
デアくん・アイちゃん
「あーあ・・・」
ひらめき先輩
「ということで、『きゅうりのキューちゃん』には、
3つの革新的なポイントがあったんです。
テレビCMには、有名な歌手が起用されましたが、
さて、それは誰でしょう?」
デアくん
「歌手? マラソンの選手じゃなくて?」
アイちゃん
「あっ、もしかして、坂本九ちゃんですか?」
ひらめき先輩
「正解! よく分かったね。1963年から放映されました」
デアくん
「なるほど。グッドアイデアだね」
ひらめき先輩
「1967年には、内閣総理大臣賞を受賞しています。
でも、すごいなあと思うのは、ロングセラー商品に
なるものって、陰ながらの努力があるんですね」
アイちゃん
「何ですか、陰ながらの努力って?」
ひらめき先輩
「素材や醤油も多少は変わっていると思うけど、
特筆に値するのは塩分濃度なんですよ。発売当初は
10%以上もあったそうですが、7度に渡って減ら
されて、現在、4%になっているそうです」
アイちゃん
「やはり、健康志向に合わせてってことですね」
ひらめき先輩
「そう。でも、風味自体はまったく変わってないん
です。だから、50年も続くんですね」
デアくん
「今年50周年か・・・」
ひらめき先輩
「そうそう、50周年にあたり、デザインも新たに、
省資源化パッケージで発売されています。コクと
旨味がアップしているようですよ。それから、
『キューちゃんかつおだし風味』が新発売されて
います」
デアくん
「ああ、さっき食べたばっかりなのに、
お腹がすいてきちゃった!」
アイちゃん
「わたしも・・・」
ひらめき先輩
「あっ、弁当食べるの、忘れてた。
はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」