【誕生秘話】きっかけは、漁師たちが捨てていた牡蠣の煮汁。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
アイちゃん
「デアくん、何を食べてるの?」
デアくん
「キャラメルだよ。アイちゃんも食べる?
ひらめき先輩もよかったら・・・」
ひらめき先輩
「ありがとう。じゃ、きょうはこのグリコの話にしよう」
デアくん
「グリコって、パッケージデザインがユニークですね」
ひらめき先輩
「それは“ゴールインマーク”というもので、
一般的には“グリコポーズ”と言われています。
創業者は佐賀県の蓮池村生まれの江崎利一さんです」
アイちゃん
「佐賀県の人ですか」
ひらめき先輩
「佐賀県の有明海では牡蠣がよく獲れるんですが、
漁師たちが牡蠣の煮汁を捨てているのを見たとき、
牡蠣にはグリコーゲンという栄養があるのを知って
いた利一さんは、それで何か作れないかと思ったん
です」
デアくん
「へぇ。利一さんは博学ですね」
ひらめき先輩
「利一さんは薬種業を営んでいたので、そういう
知識はあったんでしょうね。そこで、九州大学で
煮汁を調べてもらったところ、グリコーゲンを
はじめ、カルシウムや銅分が含まれていることが
明らかになったんです」
アイちゃん
「知識って、大事ですね」
ひらめき先輩
「その通りです。知識は、何と言っても、アイデア
の基ですからね。そのころ、自分の子供がチフスに
かかり、危険な状態になってしまったんです。その
とき、グリコーゲンのエキスに砂糖を混ぜて飲ませ
たところ元気を取り戻したんです」
デアくん
「すごい効果ですね。よかった、よかった」
ひらめき先輩
「そこで、グリコーゲンを使った薬をと思ったんです
が、九州大学の先生から『治療することより、病気に
ならない体をつくる予防のほうが大事だ』と教えられ、
結果として、育ち盛りの子供たちが喜んで食べる栄養
菓子を作ろうと決意したそうです」
アイちゃん
「それで、キャラメルに入れようと思ったんですね」
ひらめき先輩
「そこからが、また大変だったんですよ」
デアくん
「何があったんですか?」
ひらめき先輩
「利一さんは、元気の源という意味でキャラメルの形を
どうしてもハート型にしたかったんです。四角いキャラ
メルはすでに販売されているものと変わらないし、丸い
形では飴と同じなのでハート型にこだわったんです」
デアくん
「なるほど。差別化ですね」
ひらめき先輩
「しかし、キャラメルは柔らかいので、木型にくっつ
いてしまい、どうしてもうまくいかなかったんです。
試行錯誤の末、固めたものを打ち抜く方法を思いつき、
ハート型のキャラメルが実現したんです」
アイちゃん
「やっぱり、あきらめないことがポイントですね」
ひらめき先輩
「ネーミングはグリコーゲンからとった『グリコ』に
して、パッケージには、さっきデアくんが言っていた
“ゴールインマーク”をあしらったんです。キャッチ
コピーは、ご存じ、“ひとつぶで300メートル”です」
デアくん
「どうしてあのマークを思いついたんでしょうか」
ひらめき先輩
「それはね、近くの神社で子供たちがかけっこをして
いたらしいんですが、両手を上げてゴールインする姿
を見て“これだ”とひらめいたそうです」
アイちゃん
「確かに、健康で元気なイメージがありますね」
ひらめき先輩
「やがて、この栄養アメ菓子におもちゃ小箱付きの
パッケージも登場することになります。ちなみに、
これまでに考案されたおもちゃのは2万数千種類に
のぼるとか」
デアくん
「そこまで知らなかったけど、グリコのキャラメルって、
画期的なお菓子だったんですね」
ひらめき先輩
「はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」