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【誕生秘話】“つきたてのおいしさ”を保存することに成功。

こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。

アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。

ひらめき先輩
「デアくんはお餅、好き?」

デアくん
「大好き! 今年のお正月は食べすぎちゃいました」

アイちゃん
「お雑煮もいいけど、お汁粉もいいですよね」

デアくん
「あ、今日は、お餅の話ですか?」

アイちゃん
「デアくん、最近、勘がよくなったわね」

デアくん
「最近?」

ひらめき先輩
「お餅といっても、お餅の発明の話ではなく、
包装餅の『サトウの切り餅』誕生秘話です」

アイちゃん
「お餅の包装って、そんなに大変なんですか?」

ひらめき先輩
「お餅って、カビがとても生えやすいんですよ。
包装餅が出る前は、それを防ぐことはできないと
思われていたんです。包装餅の歴史は、保存方法
の探求の歴史でもあったんですね」

デアくん
「そうなんですか。僕はカビが生えているお餅を
見たことがないなあ」

アイちゃん
「わたしも・・・」

ひらめき先輩
「そういう時代になったんですね。1963年のこと
ですけど、お餅業界は餅取り粉に防腐剤を混ぜた
のし餅を発売したんですね。ところが、食品衛生
法に抵触してしまって業界そのものが大ピンチに
なってしまったことがあるんです」

アイちゃん
「まあ、大変!」

ひらめき先輩
「そこからが、包装餅の開発の歴史がスタートする
わけです。まず、1964年に現在の食品研究センター
である新潟県食品研究所がロケット包装を開発しま
した」

デアくん
「ロケット包装?」

ひらめき先輩
「そう。フィルム包装ごと80度で湯殺菌をする、
当時では画期的な技術だったんですよ。これにより
保存期間は約2週間になりました」

アイちゃん
「ロケットのような形をしていたんですか?」

ひらめき先輩
「今でいうハムのような形をした包装餅です。
でも、食べにくいのが難点でした。そこで、
サトウ食品は、のし餅に縦横の筋を入れ、簡単に
割れるようにして発売しました。これもアイデア
ですね。これが1965年のことです」

デアくん
「そうでなくっちゃね。ニーズは明白ですから」

ひらめき先輩
「保存期間も6カ月まで延びました。しかし、
個別包装じゃなかったので、一度開けると
16切れのお餅を食べなければならないという
不便さがあったんです」

アイちゃん
「16切れ? そんなに食べられない!」

ひらめき先輩
「そうだよね。そこで1973年にサトウ食品は、
1年の保存ができ、3つずつ使える『サトウの
切り餅』を発売して、これが爆発的なヒット
商品となりました」

アイちゃん
「それだったら、みんな買いますよね」

デアくん
「うん、消費者ニーズを満たしてる」

ひらめき先輩
「その商品の背景には、レトルト殺菌釜、ロータリー
真空機、三連包装機、耐熱性資材などの革新的な機械
の導入がありました。でも、この開発ストーリーには、
まだ続きがあるんです」

デアくん
「えっ、それで完成したんじゃないですか?」

ひらめき先輩
「殺菌包装は衛生面や保存にはいいんですが、
つきたてのおいしさがなくなってしまうという
欠点があったんです」

アイちゃん
「商品開発って、一筋縄ではいかないんですね」

ひらめき先輩
「完成品ができるまでには、いろいろな問題を
解決する発想を求められるし、それを実現する
ための技術やノウハウを開発しなければならな
いという別の課題があるんですね」

デアくん
「問題解決力がないと、商品開発は難しいという
ことですね」

ひらめき先輩
「そうなんですよ。新商品は、アイデアの塊です
よね。で、今度は、長期保存とつきたてのおいし
さの両立が課題となったわけです。そして、これ
を実現したのが、容器内の酸素を吸収し、食品の
カビの発生や変色などを防ぐ“脱酸素剤”でした。
これが1979年のことです」

アイちゃん
「それが現在のものですか?」

ひらめき先輩
「いや、まだ続きがあります。1980年には『サトウ
の切り餅・つきたてバラ入り』、さらに1983年には、
生のお餅をひとつずつ無菌状態で包装した業界初の
『サトウの切り餅・つきたてシングルパック』が発売
されました」

デアくん
「商品アイデアは、限りがないですね」

ひらめき先輩
「はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」

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