【誕生秘話】炭酸と栄養が出会って、売れた数は300億本。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「あれ、デアくんは、きょうはお休みかな?」
アイちゃん
「いえ、ちょっと遅れるそうです」
ひらめき先輩
「あ、来た来た」
デアくん
「お待たせしました。よかったら、これ、どうぞ」
アイちゃん
「オロナミンCじゃない。どうしたの?」
デアくん
「ちょっと飲みたくなって・・・」
アイちゃん
「あ、分かった。
きょう、この話をしてほしいんでしょ?
ダメよ、急にそんなこと言っても。
ねぇ、ひらめき先輩」
ひらめき先輩
「いいですよ」
アイちゃん
「えっ、いいんですか?」
ひらめき先輩
「『オロナミンC』は、確か、1965年の発売
だったと思います。ちょうど高度経済成長の
頃ですね」
デアくん
「そんなに昔から売られているんですか、これ?」
ひらめき先輩
「当時、大正製薬の『リポビタンD』が発売さ
れていて、大塚製薬はいくつかの製品を市場に
投入したんですが、うまくいかず、ドリンク剤
の分野では後れをとっていたんです」
アイちゃん
「『リポビタンD』も、その頃からあったんですか・・・」
ひらめき先輩
「それについて話し始めるとややこしくなるの
で省きますね。で、そのころ、製品開発の転機
となるある出来事があったんです」
デアくん
「えっ、どんな出来事なんですか?」
ひらめき先輩
「当時、技術部長がアメリカへ行ったときに
飲んだコーラです」
アイちゃん・デアくん
「コーラ?」
ひらめき先輩
「そうです。コーラの爽快な味わいに感激した
部長さんは、あの炭酸のさわやかさをドリンク
剤に加えたら、きっとおいしいドリンクができ
るに違いないと思ったんです」
デアくん
「“炭酸のさわやかさ”と“身体にいい栄養”と
の組み合わせ・・・」
アイちゃん・
「それって、アイデア発想法の基本ですね」
デアくん
「アイちゃん、ずるい! いま言おうと思ったのに」
ひらめき先輩
「その通りです。二人とも、アイデアの基本が
身についてきたね。で、製品開発もうまくいき、
発売間近になって、ある問題が浮上してきたん
です」
デアくん
「ええ、またですか。いままでにも順調に行っ
てるなあと思えるとき、必ずと行っていいほど
問題が待ち受けていますね。どんな問題が起こ
ったんですか?」
ひらめき先輩
「炭酸の入った飲料は、医薬品の認可がおりな
いということが分かったんです。二者択一を迫
られたわけですが、結局、炭酸飲料のおいしさ
を選んだんです」
アイちゃん
「苦渋の決断ですね」
ひらめき先輩
「商品名は、当時、大塚製薬の看板商品だった
『オロナイン軟膏』とビタミンCとの組み合わ
せで作られたものです」
デアくん
「出た! ここでも2つの要素の組み合わせだ」
ひらめき先輩
「『オロナミンC』は炭酸入り栄養ドリンクだけ
ど、医薬品ではないので効能が言えないんですね。
でも、なんとか、栄養ドリンクとしてのイメージ
を訴求したいということがあったんです」
アイちゃん
「難しいところですね」
デアくん
「で、どうしたんですか?」
ひらめき先輩
「で、結局、効能は言えないので、そのイメージを
伝えるという狙いで、“元気ハツラツ!”というイン
パクトのあるキャッチコピーをつけたんです」
アイちゃん
「それって、その頃からのキャッチコピーなんですか?」
ひらめき先輩
「そうです。発売当時の値段は1本100円だっ
たそうですから、今もほとんど変わってないで
すね。あんなに医薬品にこだわっていたけど、
そうでなくてよかったという面もあったんです。
食料品の販売ルートに乗せられたので、全国隅々
まで商品を届けられたということです。医薬品
だったら、薬局へ行かないと買えなかったわけ
ですから」
アイちゃん
「なるほど・・・」
ひらめき先輩
「2011年の段階で、累計販売本数300億本を
突破したそうです。
はい、きょうのお話はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」