【誕生秘話】失敗が発見を生んだペニシリン。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「デアくん、ペニシリンって、知ってる?」
デアくん
「知ってますよ。抗生物質のことでしょ?」
ひらめき先輩
「そうです。アイちゃんに聞くけど・・・」
アイちゃん
「そら来た!」
ひらめき先輩
「まいったな。すぐ分かっちゃうんだから」
アイちゃん
「なんですか、質問は? あっ、いいですか、
言っても?」
デアくん
「えっ、アイちゃん、質問が分かったの?」
アイちゃん
「フレミングでしょ!」
ひらめき先輩
「さすが、アイちゃん!」
デアくん
「フレミング? あっ、フレミングの法則の人?」
ひらめき先輩
「ハハハ、それはジョン・フレミングでしょ」
アイちゃん
「フルネームは分からないけど、ペニシリンを
発見した人ですよね」
ひらめき先輩
「アイちゃん、よく知ってましたね。フルネームは、
アレキサンダー・フレミング、イギリスの細菌学者
です。ロンドンの医科大学の研究室で、ブドウ球菌
の研究をしていた人です」
デアくん
「そうなんだ・・」
ひらめき先輩
「彼は、ブドウ球菌の培養中に、あることに気づい
たんです。アオカビがシャーレの中に入り込んでし
まい、その周りのブドウ球菌は溶解していたんです
ね。最初はブドウ球菌の培養実験に失敗したと思っ
たんですが、別のことに気がついたんです」
デアくん
「来たーっ!」
アイちゃん
「ああ、びっくりした。急に大声出さないでよ」
デアくん
「だって、ここからが本番なんだから。で、何に
気づいたんですか?」
ひらめき先輩
「それはね、細菌が溶けていることは、カビが細菌
を殺したということでしょ。つまり、カビが病気を
直す可能性があるということに気がついたんです」
アイちゃん
「なるほどね。やっぱりアイデアって、モノの見方
の問題と言えるわね。ひとつの失敗は、別の見方か
らすれば、ひとつの成功でもあると言えるんじゃな
いかしら」
ひらめき先輩
「すごいね、アイちゃん。それ、名言だよ」
デアくん
「じゃ、ひとつの成功は、ひとつの失敗でもあるの
かな?」
アイちゃん
「ひらめき先輩、次に行っちゃってください」
ひらめき先輩
「今度はジフテリア菌、連鎖球菌、スピロヘータ菌
などを入れて実験した結果、ブドウ球菌と同じこと
が起きるのが分かり、こうしてペニシリンが誕生し
たわけです」
アイちゃん
「それでたくさんの人の命が救われることになって
よかったですね」
ひらめき先輩
「しかし残念なことに、発見されたものの、化学者
の協力がなかったので精製することができないまま
10年間放置されていたそうです。1940年になって、
イギリスの病理学者フローリーと生化学者チェーン
らによって、ペニシリンは粉末状に分離され普及す
ることになったんです」
デアくん
「まさに、ノーベル賞ものですね」
ひらめき先輩
「実際、彼とフローリー、チェーンは、1945年に
ノーベル医学、生理学賞を受賞しています。ちな
みに、ペニシリンという名前は、アオカビの属名
であるPenicilliumにちなんで名付けられたそう
です。
はい、きょうの雑談はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」