【誕生秘話】研究者の情熱が咲かせた青いバラ。
こんにちは、アイデアマン養成コーチの寺ちゃんです。
アイデアマン養成所の喫茶室で、ひらめき先輩、
新入社員のアイちゃん、デアくんの三人が雑談をしています。
ひらめき先輩
「二人とも、青いバラって見たことある?」
アイちゃん
「青いバラですか? ないですけど・・」
デアくん
「僕もないです」
ひらめき先輩
「世界には2万を超えるバラの種類があるのに、
青いバラは、英語圏では“あり得ない”とか
“不可能”を意味するものとして使われてきた
そうです」
アイちゃん
「実際、ないんですか、青いバラって?」
デアくん
「知らないわけだ」
ひらめき先輩
「いや、2009年まではなかったんです。でも、
今はサントリーフラワーズから売り出されてい
ます」
アイちゃん
「それをつくったのは、サントリーなんですか」
デアくん
「すごいな、日本って」
ひらめき先輩
「1990年、サントリーの植物科学研究所長の田中
良和さんは、プロジェクト発足とともにオースト
ラリアに渡って、共同開発先のベンチャー企業と
研究を始めたそうです。4年で完成させるつもり
だったそうです」
アイちゃん
「でも、始めたのは1990年ですよね?」
デアくん
「で、2009年に発売。ということは・・」
ひらめき先輩
「そうなんですよ。開発し始めてから、約20年
かかったそうです」
アイちゃん
「20年か・・」
デアくん
「生まれた赤ちゃんが成人式を迎えちゃいますね」
ひらめき先輩
「1年後にはペチュニアから、青色遺伝子を取り
出すことに成功、特許出願するなど順調な滑り
出しだったそうです。しかし、技術的には青い
カーネーションで成功しても、なかなかバラで
はうまくいかなかったようです」
アイちゃん
「青いカーネーションも素敵!」
デアくん
「うんうん・・」
ひらめき先輩
「青いカーネーションは、“ムーンダスト”と
いう商品名で売り出しているそうです。94年
からは拠点を日本へ。青色遺伝子を他の青い
花から取り出してバラのカルスに組み込む実
験に転換し、青い花をつける植物をいろいろ
テストするうちに、青いパンジーに行きつい
たそうです」
アイちゃん
「話を聞いていても、専門的すぎてよく分か
らないわ」
デアくん
「まったくです」
ひらめき先輩
「僕もよく分からないから、あまり突っ込ま
ないでね。そして、さらに実験を重ね、2002
年秋に青いバラがみごとに完成し、量産技術
へのメドもつけて成果を発表したのは04年。
しかし、ここからが大変だったそうです」
アイちゃん
「まだ、続くんですか?」
デアくん
「・・・・」
ひらめき先輩
「国連で2000年に採択された遺伝子組み換え
による植物を規制するカルタヘナ議定書への
対応です。野生種や土壌に影響を及ぼさない
ことを実証する必要があったんです」
アイちゃん
「よく分かんないけど、大変そう」
デアくん
「いろんな規制があるんですね」
ひらめき先輩
「で、2009年にやっと販売にこぎつけたと
いうことです。名前は、“アプローズ”、
花言葉は“夢 かなう”です」
アイちゃん
「ああ、長い道のりだったですね」
デアくん
「花言葉が“夢 かなう”か。僕もひとつ欲
しいな」
ひらめき先輩
「しかし、田中さんの青いバラづくりは、まだ
続いているそうです。最近、英国の科学誌が、
アプローズは淡い紫がかった青色という点を指
摘したので、田中さんは“じゃあ、もっと濃い
青にしてやる”と燃えているそうです」
アイちゃん
「再び、研究者魂に火がついちゃいましたね」
デアくん
「次の成果が楽しみですね」
ひらめき先輩
「はい、きょうの雑談はここまで。
読者の皆さんも、最後までお読みいただき感謝します」